アパートの売却時は課税売上高をチェックしよう!個人の場合でも注意が必要
こんにちは、札幌の不動産会社「ジモット」の髙橋です。
アパート売却時に課せられる税金は、アパートが事業用であっても居住用であっても概ね共通していますが、消費税に関しては「課税事業者」であるか否かが重要なポイントです。
今回の記事では、アパート売却時に消費税が課税される「課税事業者」と免税される「免税業者」について詳しく解説していきます。
「個人での売却だから大丈夫」と思っていても「課税事業者」に該当するケースがありますので、法人の方も個人の方もぜひご一読ください。
目次
アパート売却時の消費税は「課税事業者」が対象
アパート売却にかかる消費税は、売却するすべて人が対象になるわけではありません。消費税が課税されるか否かは、売主が「課税事業者」であるかどうかがポイントになります。
消費税は、事業者が事業として利益を得て繰り返し行う行為にかかるものなので、法人・個人問わず課税事業者になりえます。
例えば、自分が住む目的で購入した分譲マンションの部屋を売却する場合は、消費税はかかりません。それに対して、投資用アパートなどの収益物件を売却する場合には、建物の売却価格に消費税が課税されます。
事業者というと法人のイメージがあり、個人のアパート売却には消費税がかからないと思われている方もいますが、利益を得て繰り返し行う行為を事業とするので、個人でも課税事業者とみなされる場合があります。
アパートの売却価格は高額の場合が多いため、消費税が課税される場合は消費税も多額になります。
この記事で、何が課税対象になるのかきちんと把握しておきましょう。
個人でも課税売上高によって課税事業者に該当するケースが!
アパートの売却時に消費税が課税される「課税事業者」に該当するかどうかは、法人・個人・個人事業主に関わらず、基準期間内における「課税売上高(※消費税が課税される売上高)」がポイントになります。
※消費税が課税される売上とは、オフィスや店舗等の事業用家賃収入のことです。投資用アパートのような住宅の家賃収入は、政策的な配慮から消費税が課税されない非課税売上となっています。
課税事業者の判定方法は?
では、どのような場合に課税事業者と判定されるのでしょうか。
「❶基準期間における判定」と「❷特定期間における判定」について解説していきます。
❶基準期間における課税売上高が1,000万円を超えている
・個人の場合は、2年前の課税売上高が1,000万円を超えているとき
・法人の場合は、2期前の課税売上高が1,000万円を超えているとき
上記の場合には、消費税が課税されます。基準期間内に複数取引をおこなっている場合は、その総額が対象です。
2年前(2期前)の課税売上高が判断基準になる理由は、1年前(1期前)だと確定申告の処理がまだ完了せず、業績が不確定の可能性があるためです。
そのため、1年前(1期前)に課税売上高が1,000万円を超えていても、2年前(2期前)が1,000万円以内であれば、消費税が課税されないので覚えておきましょう。
❷特定期間における課税売上高、または支払った給与等の金額が1,000万円を超えている
基準期間が存在しない場合や、基準期間内による課税売上高が1,000万円以下の場合は、「特定期間」の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかがポイントです。
特定期間とは、原則として前年度の期首から6カ月間(個人事業主の場合はその年の前年1月1日~6月30日までの期間)をいいます。
また、課税売上高の代わりに特定期間内に支払った給与等人件費の合計額でも判断できるので、課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等の支給額が1,000万円以下なら免税されます。
課税売上高とは?
課税売上高とは、消費税の課税対象にあたる取引による売上高のことです。
例えば下記のようなものが課税対象の取引となります。
【消費税が課税される取引】
・物(資産)を売って発生する売上
・物(資産)を貸した際に発生する売上
・サービス(役務)の提供によって発生する売上
このように、一般的に言う売上高より範囲が広く、例えば事業用自動車や備品などを売却したときの収入もこれに該当します。
逆に、消費税が課税されない取引には以下のようなものがあります。
【消費税が課税されない取引】
・免税取引
海外への輸出品に対する売上が代表的で、これらは日本で消費されないため消費税はかかりません。
しかし、厳密に言うとこの取引は、0%の消費税をかける課税取引にあたるため、結果的に消費税がかからないというだで、「基準期間」の「課税売上高」には含めることとなります。
※反対に日本で消費される輸入品には消費税がかかります。
・非課税取引
土地の売却や住宅用の家賃などが代表的です。
不動産の中でも土地については消費するものではないため、消費税はもともと課税されませんし、住居用の賃貸による家賃収入についても非課税取引となりますから課税売上高に該当しません。
※消費税の対象とすることになじまないものや、社会政策的に配慮されているもので、該当するものは限られています。
よって、賃貸アパートの家賃収入で1,000万円以上売り上げていたとしても課税事業者にはなりません。不動産投資において課税取引となるのは、主に「建物の売買による売上」です。
・不課税取引
保険金や配当金の受取などが代表的です。
課税の対象となる要件から外れているものを指します。
消費税が免除される免税業者とは?
免税業者とは、前章で説明した課税事業者❶❷に該当しない法人・個人のことで、事業者免税点制度により消費税の納付義務が免除されます。
・上記の課税事業者❶❷に該当しない
・事業開始後2年以内である
事業開始後2年以内の法人は、基準期間が存在しないため1期目・2期目は免税事業者となりますが、3期目に関しては、課税事業者になる可能性があります。
また上記でも説明しましたが、投資用アパートのような住宅の家賃収入は非課税売上のため、住宅系の不動産しか保有しておらず、売却をしていない場合には、ほとんどの場合が免税業者になっていることが一般的です。
ただし、昨年まで免税事業者であっても、前々年にアパートやマンション等を売却している場合、今年は消費税の課税事業者になっている可能性があるので確認が必要です。
アパート売却における消費税以外の税金3つ
アパート売却にかかる消費税以外の税金は、主に下記の3種類です。
消費税も合わせると全部で4種類の税金がかかります。
- 譲渡所得税
- 登録免許税
- 印紙税
詳しくは、別記事「アパート売却に必要な税金4つと諸費用3つを分かりやすく解説!」にて解説しております。
また、計算方法についても合わせて知りたい方はコチラ「アパート売却にかかる税金と計算方法を分かりやすく解説!」をご覧ください。
課税事業者に該当する場合のアパート売却には注意が必要
このように、個人であっても2年前に1,000万円超の金額で建物を売却していると、その年は課税事業者となります。
仮に建物の価格が2,000万円だとすると、消費税が10%課税され200万円の消費税を納税しなければいけません。
そのため、アパートの売却を検討する際にはまず、2年前の基準期間と1年前の特定期間において、課税取引による売上が1,000万円超で課税事業者になっていないか必ず確認しておきましょう。
その上で、課税事業者となっている年にアパートを売却する際には、その建物部分については消費税も踏まえた価格で売却するのがおすすめです。
アパートは特に売却タイミングの判断も難しいため、まずは信頼できる不動産会社へ相談しましょう。
弊社「ジモット」でも、札幌および札幌近郊の不動産買取・仲介を行っております。
アパートも含め不動産売却に関するご相談を承っておりますので、お気軽にへ相談ください。