コラム
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相続のこと
2023.10.23 更新

賃貸アパートを相続するために必要な手続きや注意点・分割方法について解説

こんにちは、札幌の不動産会社「ジモット」の髙橋です。

賃貸アパートの相続をする場合、「経営を引継ぐべきか否か」「複数相続人がいる場合の分割方法はどうするべきか」「相続税は課税されるのか」など解消したい問題がたくさん出てきます。

特に、不動産相続の中でも賃貸アパートの手続きは複雑で、難航するケースも多くあります。

この記事では、賃貸アパートの相続では具体的にどのような手続きを行えばいいのか、相続時の注意点やポイントなども踏まえて解説していきます。

相続せずに相続放棄や売却をした方が良い場合もありますので、ぜひご一読ください。

賃貸アパートを相続する際に確認すべき3つの事項

アパートの相続について、専門家に相談する前に、まずは以下の3点を確認しておきましょう。

  • 遺言書の有無
  • 相続財産の把握
  • 相続人の確定

また、専門家への相談費用はそれぞれの事務所によって異なります。

具体的な依頼ではなく相談だけなら、相談料は弁護士は1時間1万円程度、それ以外の士業は1時間5,000円程度が目安です。

また、自治体などで無料相談の窓口を設けている場合もあります。
実際に依頼するかどうかの検討も含め、まずは無料相談窓口を利用してみるのもおすすめです。

相続した賃貸アパートは経営はどうするべき?

賃貸アパートを相続した場合、相続人はアパートの経営を引き継ぐか、売却するかの重要な決断を迫られます。

この章では、その決断の参考になるようなポイント例をご紹介いたします。

経営を引継ぐのがオススメな場合

・毎月の収益がプラス

・駅近などアパートの立地がよい

・築年数が浅い(15年以下程度)

・修繕工事をする資金的余裕がある

 

アパートの経営を引き継ぐ場合は、まず管理会社へ相談しましょう。

アパートの管理会社へ所有者変更の連絡をし、入室状況や収入状況、管理会社との契約状況などを確認します。

状況によっては、これを機に管理会社を変更するという選択肢もあります。

 売却がオススメな場合

・毎月の収益がマイナス

・入居者のトラブル(家賃滞納など)がある

・アパート経営に手間や時間をかけたくない

・相続税の支払い資金が不足している

・複数の相続人で公平に相続分割したい

アパートを売却する際の相談先は不動産会社です。

売却の流れは、以下の通り一般的な不動産売買と同じになります。

  1. 不動産会社へ相談
  2. 不動産査定
  3. 媒介契約の締結
  4. 売却活動
  5. 売買契約の締結
  6. 売却金決済・引き渡し

ただし、アパートならではのポイントや注意点を知っておくことで、高くスムーズに売却できる可能性が上がります。

詳しくは別記事「築年数別!アパートの売却方法や価格について」にて解説しております。

賃貸アパートを相続するために必要な6つの手続き

アパート相続の際、必要になる手続きは下記の5つです。

それぞれ一つずつ、詳しく解説していきます。

❶遺言書や資産、債務の有無を確認

❷遺産分割協議

❸相続登記

❹管理会社・入居者・金融機関への連絡

❺4か月以内に準確定申告

➏10カ月以内に相続税の申告

❶遺言書や資産、債務の有無を確認

被相続人が残した遺言書がある場合は、遺言書に従って遺産を分割することになります。

遺言書の形式は下記の2種類がほとんどです。

公正証書遺言:どこの公証役場でも調べることができる。

自筆証書遺言:貸金庫や書斎、もしくは被相続人の弁護士や税理士等が保管している場合も。

また、相続税を算出するために被相続人のすべての資産と債務を確認します。

相続から2ヵ月以内を目途に、関係する金融機関にて確認しましょう。

アパートの相続においては、被相続人が敢えてローンを残すことで相続税を節税することができますが、複数の物件がある場合にはどのローンがどの物件と紐づいているのかを確認する必要があります。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、被相続人の財産を相続人である家族や親族などに分割するための協議のことです。

遺言書がない場合、相続人が被相続人の財産を分割するために行われることが一般的で、相続人同士のトラブルを未然に防ぐことができます。

話し合いの内容は、相続人が分割する財産の種類や割合、相続人の順位、負債の分担方法などです。

もし相続人が多数いる場合やトラブル等が起きた場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談すると良いでしょう。遺産分割協議が終了したら、書面にまとめた内容を司法書士に提出し、遺産分割協議書を作成してもらいます。

また、被相続人の遺産がプラスの資産よりマイナスの債務の方が大きい場合には、相続放棄をすることができます。

相続放棄とは、相続の権利「すべて」を放棄することです。

また、相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければならないので注意が必要です。

❸相続登記

アパートを相続した場合、相続人は所有権を持つことになりますがその所有権を証明するためには相続登記(名義変更)が必要です。

相続登記を行わない場合、所有権を主張することができないので、アパートの売却や貸し出し、建物の改築や増築などの取引もできなくなってしまいます。

また、複数人でアパートを相続する場合には相続人全員の登記を行い、相続人が未成年者である場合は法定代理人が登記を行います。

登記手続きには、相続人の印鑑証明書や相続証明書・登記簿謄本などが必要となり、相続人全員が同意した上で、法務局にて登記申請を行います。

相続登記の手続きは、大変な手間が掛かることが多いため司法書士に依頼するのが一般的です。

費用については、登録免許税(アパート固定資産税評価額の0.4%)と司法書士へ依頼する場合の報酬(5~10万円前後)を目安にしておくと良いでしょう。

❹管理会社・入居者・金融機関への連絡

アパートの維持管理について管理会社と契約している場合には相続が発生したことを連絡、入居者へ所有者が変わったことを通知し賃料の支払先を変更します。

アパートローン残債がある場合には、金融機関に連絡して今後の支払いについて相談し、契約を引き継ぐ手続きを行います。

❺4か月以内に準確定申告

相続財産にアパートがある場合、被相続人が収益を得ていることがほとんどなので「準確定申告」を行う必要があります。

準確定申告とは、被相続人が他界した年の1月1日から他界日までの所得に関する確定申告のことです。

通常の確定申告は、1年分を翌年の2月16日から3月15日までに手続きしますが、準確定申告は相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があるのでご注意が必要です。

➏10カ月以内に相続税の申告

相続税の納税義務のある相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告と納税を行います。

相続税はアパートの相続で必ず課税されるものではなく、遺産の合計額が「基礎控除額」を超える場合に課税されます。参考:国税庁「相続税がかかる場合」

基礎控除額計算式

基礎控除額=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

例えば、法定相続人が2人の場合基礎控除額は4,200万円となり、正味の遺産総額が4,200万円を超えない場合には相続税は課税されません。

正味の遺産とは、プラスの財産(資産)からマイナスの財産(借金等の債務)を差し引きしたものです。

相続税には様々な控除や特例が用意されているので、利用できるものがないか専門家に相談してみるのもおすすめです。

賃貸アパートを相続放棄する際の注意点

被相続人の遺産がプラスの資産よりマイナスの債務の方が大きい場合には、相続放棄をすることができます。

相続放棄とは、相続の権利すべて(アパートを含む相続財産すべて)を放棄することです。

財産の一部だけを相続する・しないというのは認められず、プラスの財産もマイナスの財産もすべてまとめて相続するか、すべてまとめて放棄するかのいずれかです。

また、相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければならないので頭にいれておきましょう。

賃貸アパートを相続するための3つの遺産分割方法

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産をどのように引継ぐのかを決める必要があります。

アパートを相続する場合の分割方法は下記の3つです。

それぞれの方法で良し悪しがありますので、相続人同士でしっかり話し合いの上、決定しましょう。

代償分割

代償分割とは、相続人のうちの1人が財産(アパート)を取得し、その他の相続人には代償金等を支払うことによって清算する遺産分割の方法です。

代償金の金額は、民法が定める「法定相続分」に応じて計算します。

例えば、2,000万円の価値のあるアパートを2人の子どもが相続するケースだと、「長男がアパートを取得し次男に1,000万円の代償金を支払う」というのが代償分割です。

この場合、長男に代償金を支払えるだけの資力が必要であることや、将来の家賃収入分まで加味するのか、建物寿命などを踏まえた修繕費用分を差し引くのかなど、相続人同士でしっかり話し合うことが大切です。

換価分割

換価分割とは、相続したアパートを売却して換金し、その換金された金額を相続人で分配する方法です。

この方法では全ての相続人に平等に金銭という形で相続が行われるのが特徴です。

売却のための手数料などが別途発生したり、売却益が出た場合には譲渡所得税の納税が必要になるなど、手続きが煩雑になります。

また、立地条件の影響や売却時期のタイミングなどにも注意する必要があるでしょう。

現物分割

現物分割とは、不動産や株式、車などの財産をそのまま相続する遺産分割方法です。

それぞれの財産ごとに相続人を決めて分割します。

例えば、長男がアパートを相続し、次男は株式と預貯金を相続する等です。

財産の内容によっては金額のバランスが偏ることがありますので、その場合は代償金支払いと併用するなど、公平性を考慮する必要があります。

アパート相続は共有名義を避けるのがおすすめ

アパートを相続した後のトラブルを避けるために、共有名義の相続は極力避けることをおすすめします。

共有名義とは、複数の相続人がそれぞれの相続割合に応じた持ち分でアパート(不動産)を共同所有することです。

公平な相続方法にも思えますが、アパート等不動産を兄弟などで共有名義にすることでその後にトラブルに発展してしまうリスクが高まります。

不動産相続における共有名義のリスク例を下記に3例あげておきます。

共有者全員の同意がなければ売却や賃貸(3年超)ができない

共有者全員が同意しなければ、アパートの売却や長期間(3年超)の賃貸借契約ができません。

特に売却するか否かの判断は共有者の中でも意見が分かれることが多く、共有者全員の合意を得ることができないと売却活動を進められなくなってしまいます。

改築にも共有者(持ち分)過半数の同意が必要

現状維持を目的とするような修繕であれば、所有者のうちの1人の判断で決定することができますが、資産価値を向上させるようなリフォーム等を行うためには、共有持ち分のうち過半数の同意が必要になります。

相続発生ごとに権利関係が複雑化

共有者のうちの誰かが亡くなるたびに相続が発生し、さらに共有者が増えていってしまう可能性があります。

共有者が増えれば増えるほど、売却や賃貸・リフォームの実施などの合意を得ることが難しくなります。

弊社「ジモット」でも札幌および札幌近郊の不動産買取・仲介を行っております。相続予定のアパート含め不動産売却に関するご相談を承っておりますので、お気軽にへ相談ください。

ご相談はコチラ(https://jimott.co.jp)から

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