コラム
COLUMN

相続のこと
空き家のこと
2023.10.23 更新

空き家を相続放棄や国庫帰属で手放すには?管理義務に注意!

こんにちは。札幌の不動産会社「ジモット」の髙橋です。

活用する予定のない空き家は、所有しているだけで固定資産税や維持管理費などの出費がかさむことはもちろん、管理の手間や近隣迷惑のリスクなど問題が多くあげられます。

「できれば相続したくない」と考えていらっしゃる方も多いことと思います。

空き家を手放し、そのような出費やリスクから逃れるためには、売却や贈与という選択肢の他に「相続放棄」や「国庫帰属」という方法もあります。

今回のコラムでは、空き家の相続放棄と国庫帰属について解説いたします。

空き家を相続放棄しても管理責任が残ってしまうケースや、管理責任を完全に手放す方法、空き家を相続放棄する際の注意点などをご紹介しますので、空き家を相続した方・相続するかもしれないという方は、ぜひご覧ください。

空き家の「相続放棄」とは?

「相続放棄」とは文字通り「相続の権利を放棄すること」です。

相続の権利すべて(アパートを含む相続財産すべて)を放棄することなので、財産の一部だけを相続する・しないというのは認められず、土地や建物などの不動産、現金や証券といったプラスの財産も、借金やローンなどマイナスの財産もすべてまとめて相続するか、すべてまとめて放棄するかのいずれかです。

ほかの財産を相続するなら、空き家も相続するということになります。

一般的には、遺産の内容を全て確認し、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いときなどに相続放棄を検討することが多いでしょう。

家庭裁判所へ相続放棄の申し立てを行い、認められると相続放棄が成立します。

相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければならないので頭にいれておきましょう。

相続放棄をすると、その相続人は最初から相続の権利がなかった人という位置づけになります。

空き家の相続放棄の手続きや流れ、必要書類などは「不動産の相続放棄は可能?流れや必要書類などをチェック」で詳しく解説しています。

相続放棄でも空き家の管理義務は継続される!

空き家を手放すために相続放棄をした場合でも、その空き家の管理義務は継続されるので注意が必要です。

「相続人が自身のみで、相続放棄をする」「複数の相続人が全員、相続放棄をする」この場合どちらも、相続人全員が相続放棄をしてしまうため「結局、誰が空き家の管理をするの?」ということが問題になってしまいます。

古くなった空き家を、誰も管理せずに放置することは許されていません。

管理義務とは、空き家を放置せず適切に管理を行う義務のことです。

民法第940条第1項にて下記のように義務付けられています。

(相続の放棄をした者による管理)

第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

 

空き家を放置すると、次のようなリスクがあります。

・不審者が住み着く

・放火のリスク

・崩れて通行人にケガをさせる

・雑草や害虫、ネズミなどが増える

など、周辺環境の衛生・治安・安全などへの悪影響が出てしまう可能性があります。

相続放棄しても空き家の管理責任が残り、清掃や修繕にかかる手間や費用が発生することに変わりはありません。

ただ、財産として相続していないので、相続税や固定資産税は課税されません。

空き家の管理義務から免れるためには?

空き家を相続放棄して、さらに管理義務から免れるためには「空き家の管理者を見つける」必要があります。

自分以外に相続人がいて、空き家を相続してくれるなら、相続人に空き家の所有権とともに管理義務も引き継がれます。

一方、先ほど紹介した「1. 相続人が自分のみで相続放棄をする」「2. 複数の相続人が全員相続放棄をする」という2つのケースの場合は、「相続財産管理人」を選任しなくてはいけません。

相続財産管理人の選任は、現在の空き家の所有者が家庭裁判所へ申し立てをし、裁判所が「相続財産管理人」が必要と判断すると選任できます。

相続財産管理人は空き家を管理し、最終的に不動産の権利を国に移すことで、空き家の管理義務から完全に免れることができます。

裁判所への申し立て費用や相続財産管理人へ報酬の支払いが必要のため、管理義務から免れるまでにそれなりの費用がかかります。

また、空き家の管理義務から免れる方法として、「売却」という方法ももちろんあります。

なかなか買い手が付きにくい古い空き家も、不動産買取ならスムーズに売却できる可能性もあるので、空き家を手放す手段として売却もぜひ検討してみてください。

不動産買取については「空き家は買取がベスト?メリット・注意点・売り方を徹底解説!」で、詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。

空き家を相続放棄するときの注意点

空き家を相続放棄する際は、特に次の3点に注意しましょう。

①事前に親族の理解を得る

空き家の相続放棄を考えていることを、事前に関係のある親族やほかの相続人に伝え、理解を得ておきましょう。

自分が相続放棄をすることで、空き家を引き継ぐことになる相続人には、事前に了解を得て、トラブルが起こらないように配慮しましょう。

②相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄の申し立てができるのは、相続開始から3ヶ月以内です。

期限を過ぎてしまうと相続放棄が認められない場合があります。

遺産総額の調査などをしていると、意外とあっという間に過ぎてしまうので、気を付けてください。

③財産の一部を使用・処分していると相続放棄できない

すでに預金の一部を引き出して使ってしまった、財産の一部を売却してしまったという場合は、財産を相続したとみなされて相続放棄ができなくなります。

空き家の解体やリフォームをした場合も同様で、空き家を相続したとみなされるため注意しましょう。

空き家の国庫帰属とは?

相続した土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属法」が2023年4月27日より施行されました。

相続や遺贈によって、宅地や山林・農地などの土地を取得した人が、一定の負担金を納付することを条件に、土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

不要な土地を国に渡すことにより、その管理義務からも解放されて一件落着のように思えますが、実はそう簡単なものではありません。

土地を引き取ってもらうためには、申請者の条件や引き取ってもらう土地の条件を満たす必要があります。しかも条件を満たしたからと言って無料で土地を引き取ってくれるわけではないのです。

国に土地を引き取ってもらうには、管理に要する「10年分」の標準的な管理費用を負担しなければなりません。その他にも引き取ってもらえるかを審査する費用を支払う必要があります。

また、引き取ってもらえるのは土地に限られるため、空き家を引き取ってもらうためには空き家(建物)を解体した上で申請をしなければいけません。

このような場合、解体費用は自費で支払う必要があります。

このように、国庫帰属は空き家を手放したい場合に必ずしも有効な方法とは言えないかもしれません。

空き家をトラブルなく手放すためのまとめ

相続放棄とは、遺産のすべてについて相続する権利を放棄することです。

相続放棄で空き家の相続は放棄できますが、その場合はほかの財産もすべて放棄することになります。
「空き家は相続放棄するけど預金は相続する」ということはできません。

相続放棄の期限は相続開始から3ヶ月以内。
その前に財産の一部を使用・処分していると、相続したとみなされて相続放棄ができなくなるので注意が必要です。

ただし、相続人が自分1人しかいないケースや複数の相続人が相続放棄するケースでは、相続放棄をしても空き家の管理義務が残ってしまいます。

誰も管理しないまま空き家を放置していると、周辺環境へ悪影響が出てしまうため、空き家を引き継ぐ人がいない限り、空き家の維持管理の責任・義務は元の相続人に残るのです。

また、不動産買取を利用して売却するという方法もありますので、ぜひ検討してみてください。

弊社「ジモット」でも、札幌および札幌近郊の不動産買取・仲介を行っております。

空き家含め不動産売却に関するご相談を承っておりますので、お気軽にへ相談ください。

ご相談はコチラ(https://jimott.co.jp)から

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