アパートを相続する際に知っておきたい分割方法や注意点について解説
こんにちは、札幌の不動産会社「ジモット」の髙橋です。
近年、相続税対策の一つとしてアパート経営をされる方が増えており、その相続についてのご相談も増えています。
「相続予定のアパートはどうするべきか…」
「相続人が何人かいるけど、どのように分割すればいいか…」
など、アパートを相続する際には解決すべき問題がたくさん出てきます。
この記事では、アパートの相続をする場合に経営を引継ぐべきか否か、複数相続人がいる場合の分割方法、相続時の注意点なども踏まえて解説していきます。
相続せずに相続放棄や売却をした方が良い場合もありますので、ぜひご一読ください。
目次
相続したアパートは経営を引継ぐべき?売却するべき?
アパートを相続した場合、相続人はアパートの経営を引き継ぐか、売却するかの重要な決断を迫られます。
この章では、その決断の参考になるようなポイント例と「経営を引き継ぐ場合」「売却の場合」の相談先についてもご紹介いたします。
経営を引継ぐのがオススメな場合
・毎月の収益がプラス
・駅近などアパートの立地がよい
・築年数が浅い(15年以下程度)
・修繕工事をする資金的余裕がある
売却がオススメな場合
・毎月の収益がマイナス
・入居者のトラブル(家賃滞納など)がある
・アパート経営に手間や時間をかけたくない
・相続税の支払い資金が不足している
・複数の相続人で公平に相続分割したい
アパートの経営を引継ぐ場合の相談先
相続したアパートの経営を引き継ぐ場合は、まず管理会社へ相談します。
アパートの管理会社へ所有者が変わったことを連絡し、入室状況や収入状況、管理会社との契約状況などを確認しましょう。
状況によっては、これを機会に依頼する管理会社を変更するというケースもあるでしょう。
アパートなど不動産を相続した場合に必要となる手続きは、「アパートなどの不動産を相続したら必要な手続きや流れ」でもご紹介していますのであわせてご覧ください。
相続アパートを売却する場合の相談先
相続したアパートを売却する際、相談先は不動産会社です。
売却の流れは、以下の通り一般的な不動産売買と同じです。
- 不動産会社へ相談
- 不動産査定
- 媒介契約の締結
- 売却活動
- 売買契約の締結
- 売却金決済・引き渡し
ただし、アパートならではのポイントや注意点を知っておくことで、高くスムーズに売却できる可能性が上がります。
詳しくは別記事「相続したアパートを売却するには?売却・経営の判断ポイントも」にて解説しております。
アパートを相続しない相続放棄の選択肢も
被相続人の遺産がプラスの資産よりマイナスの債務の方が大きい場合には、相続放棄をすることができます。
相続放棄とは、相続の権利すべて(アパートを含む相続財産すべて)を放棄することです。
財産の一部だけを相続する・しないというのは認められず、プラスの財産もマイナスの財産もすべてまとめて相続するか、すべてまとめて放棄するかのいずれかです。
また、相続放棄は相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければならないので頭にいれておきましょう。
アパートを相続する際に確認すべき3つの事項
アパートの相続について、専門家に相談する前に、まずは以下の3点を確認しておきましょう。
- 遺言書の有無
- 相続財産の把握
- 相続人の確定
また、専門家への相談費用はそれぞれの事務所によって異なります。
具体的な依頼ではなく相談だけなら、相談料は弁護士は1時間1万円程度、それ以外の士業は1時間5,000円程度が目安です。
また、自治体などで無料相談の窓口を設けている場合もあります。
実際に依頼するかどうかの検討も含め、まずは無料相談窓口を利用してみるのもおすすめです。
アパートを相続するための3つの遺産分割方法
遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、財産をどのように引継ぐのかを決める必要があります。
アパートを相続する場合の分割方法は下記の3つです。
それぞれの方法で良し悪しがありますので、相続人同士でしっかり話し合いの上、決定しましょう。
代償分割
代償分割とは、相続人のうちの1人が財産(アパート)を取得し、その他の相続人には代償金等を支払うことによって清算する遺産分割の方法です。
代償金の金額は、民法が定める「法定相続分」に応じて計算します。
例えば、2,000万円の価値のあるアパートを2人の子どもが相続するケースだと、「長男がアパートを取得し次男に1,000万円の代償金を支払う」というのが代償分割です。
この場合、長男に代償金を支払えるだけの資力が必要であることや、将来の家賃収入分まで加味するのか、建物寿命などを踏まえた修繕費用分を差し引くのかなど、相続人同士でしっかり話し合うことが大切です。
換価分割
換価分割とは、相続したアパートを売却して換金し、その換金された金額を相続人で分配する方法です。この方法では全ての相続人に平等に金銭という形で相続が行われるのが特徴です。
売却のための手数料などが別途発生したり、売却益が出た場合には譲渡所得税の納税が必要になるなど、手続きが煩雑になります。
また、立地条件の影響や売却時期のタイミングなどにも注意する必要があるでしょう。
現物分割
現物分割とは、不動産や株式、車などの財産をそのまま相続する遺産分割方法です。
それぞれの財産ごとに相続人を決めて分割します。
例えば、長男がアパートを相続し、次男は株式と預貯金を相続する等です。
財産の内容によっては金額のバランスが偏ることがありますので、その場合は代償金支払いと併用するなど、公平性を考慮する必要があります。
アパート相続は共有名義を避けるのがオススメ
アパートを相続した後のトラブルを避けるために、共有名義の相続は極力避けることをおすすめします。
共有名義とは、複数の相続人がそれぞれの相続割合に応じた持ち分でアパート(不動産)を共同所有することです。
公平な相続方法にも思えますが、アパート等不動産を兄弟などで共有名義にすることでその後にトラブルに発展してしまうリスクが高まります。
不動産相続における共有名義のリスク例を下記に3例あげておきます。
共有者全員の同意がなければ売却や賃貸(3年超)ができない
共有者全員が同意しなければ、アパートの売却や長期間(3年超)の賃貸借契約ができません。
特に売却するか否かの判断は共有者の中でも意見が分かれることが多く、共有者全員の合意を得ることができないと売却活動を進められなくなってしまいます。
改築にも共有者(持ち分)過半数の同意が必要
現状維持を目的とするような修繕であれば、所有者のうちの1人の判断で決定することができますが、資産価値を向上させるようなリフォーム等を行うためには、共有持ち分のうち過半数の同意が必要になります。
相続発生ごとに権利関係が複雑化
共有者のうちの誰かが亡くなるたびに相続が発生し、さらに共有者が増えていってしまう可能性があります。
共有者が増えれば増えるほど、売却や賃貸・リフォームの実施などの合意を得ることが難しくなります。
アパート相続に必要な6つの手続き
アパート相続の際、必要になる手続きは下記の5つです。
それぞれについては、別記事「アパート相続で必要な6つの手続きと注意点などをまとめて解説」にて詳しく解説しておりますので、ぜひ合わせてご参照ください。
❶遺言書や資産、債務の有無を確認
❷遺産分割協議
❸相続登記
❹管理会社・入居者・金融機関への連絡
❺4か月以内に準確定申告
➏10カ月以内に相続税の申告
弊社「ジモット」でも札幌および札幌近郊の不動産買取・仲介を行っております。
相続予定のアパート含め不動産売却に関するご相談を承っておりますので、お気軽にへ相談ください。