アパートの相続税が払えない!そんな時の支払い方法を解説
こんにちは。札幌の不動産会社 ジモットの髙橋です。
親の持っているアパートを相続することになった時、賃料がこれから入るようになって助かるというのが第一印象の方も多いかと思います。
さらには「相続税が払えない!」というケースもあるかと思います。
本記事では、アパートを相続してオーナーとして経営を続けるか否かのポイントについて解説します。
目次
相続税とは?
相続税とは、財産を相続した際にかかる税金のことです。
亡くなった人から各相続人等が相続や遺贈(遺言により相続人以外が相続した場合)などにより取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の課税対象となります。
まず、相続税の計算方法は以下です。
相続税額 =(相続財産総額 – 基礎控除額)× 相続税率
相続税は基礎控除額を超えた分に課税されます。
相続財産の総額と、遺産および相続時精算課税制度(贈与を受けたときに、一定の税率で贈与税を計算し、贈与者が亡くなったときに相続税で精算する制度) を利用した贈与財産から、葬式費用や非課税分の財産を引いた遺産額を算出したあとで、基礎控除を引いたものに税率がかかります。
相続税がかからないケース
以下の2つの場合では不動産を相続しても相続税が発生しません。
・遺産総額が相続税の基礎控除を下回る場合
・相続税の配偶者控除を受けられる場合
遺産総額が相続税の基礎控除を下回る場合は、相続税の申告をする必要もありません。
この金額は、「3000万円+600万円×法定相続人数」です。
例えば、亡くなった人が妻と子ども2人の家族がいた場合、法定相続人は3人となるため、3000万円+1800万円で合計4800万円となります。
よって、不動産を含めた遺産総額が4800万円を超えない場合は、相続税がかからないことになります。
相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した遺産のうち課税対象となるものの額が1億6000万円までであれば、配偶者に相続税が課税されない制度です。
また、相続財産が1億6000万円を超えても、配偶者の法定相続分までであれば、相続税は課税されません。
配偶者控除により相続税がかからない場合は、相続税の申告が要件となるので注意しましょう。
また、この特例は、相続税の申告期限内(死亡日の翌月から10か月以内)に遺産分割が決まっていることが条件となります。
万が一、遺産分割で揉めてしまっているうちに申告期限が過ぎると、控除が使えなくなってしまいますので、遺産については生前にしっかり決めておくのがベストです。
相続税を分割払いする「延納」
相続税は原則として一括で支払うことになっています。
しかし相続税の額が大きく、一括で払うことが難しい場合、相続税には延納といって支払いを分割できる制度があります。
利息がつきますが、納めるべき相続税を毎年少しずつ支払うことができるため、支払い負担が軽減されます。
特に不動産の場合は、納税期限までに現金が手元になくとも、将来的に納税できる収入が見込める場合などに使いやすい制度となっています。
延納を申請すると、5年から20年以内の期間で相続税を分割して納付することができます。
この延納にはいくつか条件があります。
・相続税の金額が10万円を超えること
・金銭納付が困難な金額の範囲内であること
・申告期限までに延納申請書・担保提供関係書類・金銭納付を困難とする理由書を提出すること
・延納税額に相当する担保を提供すること
延納制度を利用するには延納税額相当の担保の提供も求められます。
担保としては不動産や自動車などを使えますが、土地を担保にする事が多いです。
なお、延納税額が100万円以下であり、なおかつ延納期間が3年以下の場合は担保の提供は必要ありません。
物で納税する「物納」
物納は、相続税の一括払いができず、さらに支払いを延ばす延納でも支払えない場合、財産で納めることができる制度です。
・延納によっても金銭で納付することが困難であり、その納付困難な金額の範囲内であること
・物納する財産は、相続税の対象になった財産で一定の要件を満たすものであること
・申告期限までに物納申請書と物納手続関係書類を税務署に提出すること
物納できる相続財産は以下のように順位が定められており、上位の相続財産がある場合は下位の相続財産を物納することができません。
<第1順位>
1 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
2 不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
<第2順位>
3 非上場株式等
(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
4 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
<第3順位>
5 動産
不動産で物納する場合は、売買の取引金額ではなく、相続税の評価額となるので注意が必要です。
多くの不動産が市場価格より評価額の方が安くなる傾向にあります。
売却益で納税
アパートを相続してもプラスになりそうにない場合、相続を放棄するというのも手ですが、相続税を支払えない場合は、相続した不動産を売却することも選択肢になります。
延納でも支払いの目途が立たなかったり、物納が不動産のみの場合評価額が市場価格よりも低いので損になるケースなどで、売却して現金化することを検討するのもよいでしょう。
不動産によっては、売却して得た資金で納税するほうが有利になる場合もあります。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続したアパートを売却した場合、譲渡所得税の節税ができます。
不動産譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合(譲渡所得といいます)に発生する税金です。
これは、アパートを売却する際に必ず必要な印紙税と登録免許税と比べて、譲渡所得が出た際にのみかかる費用です。
譲渡所得の計算方法は、譲渡所得は、以下の計算式で求められます。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
取得費は、購入価格から今まで計上した減価償却費を引いた残りで計算します。
相続した財産を3年以内に譲渡した場合、この取得費に相続税の一部を加算することができるため、譲渡益を軽減して節税することができるのです。
アパートを売却する流れ
アパートを売るには大きく以下のような流れで進みます。
1.不動産会社にアパートの査定を依頼する
2.不動産会社と媒介契約をむすぶ
3.買主と売買契約をする
4.買主に物件を引き渡す
アパートやマンションの場合ですと、アパートやマンションの売却を得意としている不動産会社に査定を依頼するのが良いでしょう。
不動産仲介会社は、それぞれに得意な物件やエリアを持っていることが多く、特にアパート等の物件の場合は実績がある担当者のいる会社ですと様々なトラブルにも対応できます。
査定価格も、得意としている分野の物件の方が売却がしやすいため、そうでない会社に比べて価格が高い傾向にあります。
アパートの市場価格や経営状況に合った支払い方法を選ぼう
アパートを相続した場合、相続税も大きくなり支払いに困るケースも多いと思います。
納税する現金が手元にない場合は、物件の経営状況などにより、延納をするか、物納をするか、または売却益で支払うのか、検討してみてください。
物件の市場価格を知りたい場合は、1度アパートを査定に出すのも良いでしょう。
また、遺産となる財産金額を把握できていれば、もしもの時に備えて必要な費用を事前に用意しておいたり、相続した不動産の使い道について協議したりと、スムーズな相続を行うことができ安心です。
ジモットでは、札幌や札幌近郊の不動産買取・仲介を行っています。
相続した不動産についてお困りの際は、お気軽にお問合せください。