空き家を相続放棄しても管理責任は残る!相続放棄の注意点も解説
こんにちは。札幌の不動産会社「ジモット」の髙橋です。
遠方にある実家や、活用する予定のない空き家。
所有しているだけで、固定資産税や維持管理費などの費用や管理の手間がかかると思えば、できれば相続したくないですよね。
相続放棄をすれば空き家を相続しなくて済みますが、実は空き家の管理責任が残ってしまうことがあるんです!
今回のコラムでは、空き家の相続放棄と管理責任の関係について解説。
空き家を相続放棄しても管理責任が残ってしまうケースや、管理責任を完全に手放す方法、空き家を相続放棄する際の注意点などをご紹介します。
相続するかもしれない空き家があるという方も、ぜひご覧ください。
目次
空き家の相続放棄とは?相続放棄は可能?
「相続放棄」とは文字の通り「相続の権利を放棄すること」です。
相続放棄をすると、土地や建物などの不動産、現金や証券といったプラスの財産をはじめ、借金やローンなどのマイナスの財産も含めて一切を相続しません。
相続放棄をすることで、空き家の相続も放棄することができます。
ただし、相続放棄とは全ての財産を放棄することなので「空き家は相続放棄するけど、現金は相続する」ということはできません。
空き家を相続放棄する場合は、そのほかの財産も全て相続放棄。
ほかの財産を相続するなら、空き家も相続するということになります。
一般的には、遺産の内容を全て確認し、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いときなどに相続放棄を検討することが多いでしょう。
家庭裁判所へ相続放棄の申し立てを行い、認められると相続放棄が成立します。
相続放棄をすると、その相続人は最初から相続の権利がなかった人という位置づけになります。
空き家の相続放棄の手続きや流れ、必要書類などは「不動産の相続放棄は可能?流れや必要書類などをチェック」で詳しくご紹介しています。
空き家を相続放棄しても管理責任は残る!
活用する予定のない古い空き家でも、相続をすれば所有しているだけで、固定資産税や維持管理費などの費用がかかり、清掃や修繕などの管理の手間もかかります。
「固定資産税や維持管理費などの費用負担が大きい」
「管理する時間がないので相続放棄をして、空き家を手放そう」と、考える気持ちはわかりますが、実は相続放棄をしても空き家の「管理責任」が残ってしまうことも。
管理責任とは、空き家を放置せずに適切に管理を行う義務のことです。
管理責任が残るケースは以下の2つです。
- 相続人が自分のみで、相続放棄をする
- 複数の相続人が全員、相続放棄をする
どちらも、相続人全員が相続放棄をしてしまうため「結局、誰が空き家の管理をするの?」となってしまいます。
古くなった空き家を、誰も管理せずに放置することは許されていません。
空き家を放置すると、次のようなリスクがあります。
- 不審者が住み着く
- 放火のリスク
- 崩れて通行人にケガをさせる
- 雑草や害虫、ネズミなどが増える など
周辺環境の衛生・治安・安全などへの悪影響が出てしまう可能性があります。
相続放棄しても空き家の管理責任が残り、清掃や修繕にかかる手間や費用が発生します。
ただし、財産として相続していないので、相続税や固定資産税は課税されません。
空き家の管理責任を完全に手放す方法
空き家を相続放棄して、さらに管理責任を完全に手放すには「空き家の管理者を見つける」必要があります。
自分以外に相続人がいて、空き家を相続してくれるなら、相続人に空き家の所有権とともに管理責任も引き継がれます。
一方、先ほど紹介した「1. 相続人が自分のみで相続放棄をする」「2. 複数の相続人が全員相続放棄をする」という2つのケースの場合は、「相続財産管理人」を選任しなくてはいけません。
相続財産管理人の選任は、現在の空き家の所有者が家庭裁判所へ申し立てをし、裁判所が「相続財産管理人」が必要と判断すると選任できます。
相続財産管理人は空き家を管理し、最終的に不動産の権利を国に移すことで、空き家の管理責任を完全に手放せます。
裁判所への申し立て費用や相続財産管理人へ報酬の支払いが必要のため、管理責任を手放すまでに費用がかかります。
空き家の管理責任を完全に手放す方法として、売却するという方法もありますよ。
なかなか買い手が付きにくい古い空き家も、不動産買取ならスムーズに売却できる可能性もあるので、空き家を手放す手段として売却もぜひ検討してみましょう。
不動産買取については「空き家は買取がベスト?メリット・注意点・売り方を徹底解説!」で、詳しくご紹介していますのであわせてご覧ください。
空き家を相続放棄するときの注意点
空き家を相続放棄する際は、特に次の3点に注意しましょう。
①事前に親族の理解を得る
空き家の相続放棄を考えていることを、事前に関係のある親族やほかの相続人に伝え、理解を得ておきましょう。
自分が相続放棄をすることで、空き家を引き継ぐことになる相続人には、事前に了解を得て、トラブルが起こらないように配慮しましょう。
②相続放棄の期限は3ヶ月
相続放棄の申し立てができるのは、相続開始から3ヶ月以内です。
期限を過ぎてしまうと相続放棄が認められない場合があります。
遺産総額の調査などをしていると、意外とあっという間に過ぎてしまうので、気を付けてください。
③財産の一部を使用・処分していると相続放棄できない
すでに預金の一部を引き出して使ってしまった、財産の一部を売却してしまったという場合は、財産を相続したとみなされて相続放棄ができなくなります。
空き家の解体やリフォームをした場合も同様で、空き家を相続したとみなされるため注意しましょう。
空き家の相続放棄は管理責任に注意!トラブルなく手放すには?
相続放棄とは、遺産のすべてについて相続する権利を放棄することです。
相続放棄で空き家の相続は放棄できますが、その場合はほかの財産もすべて放棄することになります。
「空き家は相続放棄するけど預金は相続する」ということはできません。
ただし、相続人が自分1人しかいないケース、複数の相続人が相続放棄するケースでは、相続放棄をしても空き家の管理責任が残ってしまいます。
誰も管理しないまま空き家を放置していると、周辺環境へ悪影響が出てしまうため、空き家を引き継ぐ人がいない限り、空き家の維持管理の責任・義務は元の相続人に残るのです。
空き家を相続放棄して、さらに管理責任も完全に手放すには、空き家をほかの相続人に引き継ぐか、全員が相続放棄するなら相続財産管理人の選任が必要です。
また、不動産買取を利用して売却するという方法もありますので、ぜひ検討してみてくださいね。
なお、空き家を相続放棄するなら、トラブルを避けるためにも親族へ事前に相談をしておきましょう。
相続放棄の期限は相続開始から3ヶ月以内。
その前に財産の一部を使用・処分していると、相続したとみなされて相続放棄ができなくなるので注意が必要です。
ジモットでは、札幌や札幌近郊の不動産買取・仲介を行っています。
不動産の売却で何かお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください!