アパートを相続したら必要な知識!借地借家法
こんにちは。札幌の不動産会社「ジモット」の髙橋です。
アパートのオーナーであれば必ず知っておくべき「借地借家法」。
アパートを借りたい人がいたら賃貸借契約を結びますが、アパートの賃貸借契約には「借地借家法」という法律が適用されるため、契約期間、敷金・礼金、賃貸契約の更新等については法律の範囲内で決めることになっています。
この借地借家法は基本的には、立場的に弱者となりやすい借りる側を保護する内容になっています。
アパートを相続してこれから大家になる方は特に、トラブルを防ぐためにもよく知っておきましょう。
目次
借地借家法とは
アパートやマンション、住宅などの建物が「借家」の場合に適用になる法律です。
借地借家法は、建物の所有を目的とする土地の貸し借りや、建物自体の貸し借りに関する期間や権利、更新などについて定めている法律です。
例えば、アパートを貸す大家さんと借りる人では、一般的には借りる側の立場が弱くなります。大家さんが「明日部屋を出て行け!」などと所有権を振りかざす事ができてしまったら、生活に困ってしまいますよね。
住居は生活に必要なものであるため、借りる人を保護するために作られたのが、借地借家法です。
借家権
アパートオーナーとして、特に借地借家法で知っておきたいのが「借家権」です。
借家権とは、お金を支払って建物を借りる際に生じる借主側の権利のことです。
権利の内容は主に、借主が不当に退去させられることが無いようにといった保護を目的としたものになります。
以下の4つの権利が認められています。
①登記がなくても家屋の引渡しを受ければ第三者に対抗できる
②家主の解約や契約更新拒絶には正当事由がなければならない
③契約終了時の造作買取請求権が認められる
④内縁の妻など同居者による借家権の継承が認められる
①登記がなくても家屋の引渡しを受ければ第三者に対抗できる
例えば、借主が住んでいるアパート自体が新しいオーナーに譲渡された場合、借家権は新しいオーナーにも有効です。
つまり、賃貸契約は新しいオーナーにそのまま引き継がれ、その際、同意を得る必要はありません。
貸し借りの発生しない住宅の場合は登記を持って権利を主張できますが、家を借りている人の場合、部屋の引き渡しを受けた時点でこの権利を持つことになります。
②家主の解約や契約更新拒絶には正当事由がなければならない
借主が「アパートを出ていきたいから契約の更新はしない」という時、特に理由を必要とせずに、やめることができます。
ただしオーナーが更新をしたくないと通知する場合には、その合理的な理由である「正当事由」が求められます。
ちなみにこの「正当な事由」ですが、認められることは通常ほぼありません。
例えば「自分が転勤から戻ってきたからこのアパートに住みたい」等も当然認められません。
認められるのは、アパートが倒壊の恐れがあるレベルの著しい老朽化により入居を続けることに危険があると判断される等などのケースです。
③契約終了時の造作買取請求権が認められる
造作買取請求権とは、借家契約の終了の際、借主が建物に加えた造作をオーナーに時価で買い取ってもらう事ができる権利です。
これは、畳であったり、電気水道設備などがあたり、事前にオーナーの同意を得て取り付けたものが当てはまります。
最近では、取り付けたエアコンに造作買取請求権が認められるかどうか争うケースもありますが、取り外しが可能なもので、無くなっても入居に問題がないものは造作にあたらないため、認められない事が多いようです。
これに関しては、特約事項として、賃貸借契約で造作の買取義務を負わないよう決めることもできます。
④内縁の妻など同居者による借家権の継承が認められる
借主がもし亡くなってしまった場合、借家権は相続対象となります。
相続人がいれば、「アパートを借りる権利」も相続されます。つまり、相続人が、このアパートを借りて住むことを希望すればオーナーがそれを拒否することはできません。
貸していた人が亡くなったからといって、その家族に「早く家を片付けて引き揚げてください」と言う権利は無いという事です。
そして、「内縁の妻や夫」または「同居者」は、亡くなった方の相続人ではありませんが、居住の保護の観点から借家権を利用することができることになっています。
これは、相続人がいる場合でもいない場合でも、借家権の継承は認められています。
ちなみに、敷金返還債務も、借家権と同様に、相続の対象となるため、借家権を相続した人に支払い義務が発生します。
借家権の相続
このように借家権は、借主の立場を守る性質の強い権利です。
借家権は相続人だけでなく内縁の妻など同居者による借家権の継承が認められるといったように、基本的に相続される権利となっています。
相続人は、賃借権を含め、家賃の支払義務など様々な権利義務をまとめて相続します。
また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が行われる前は相続人が借家権を共有することになります。
遺産分割協議後、借家権を相続する人を決めた場合にはその人が権利を継承します。
この時の賃貸借契約の再契約は不要ですが、双方の合意があれば再契約を結ぶことも可能ですし、トラブルを避けるために覚書をかわしておくのもよいでしょう。
逆に、相続人が借家権の相続を誰も希望しない場合は解約ができるのでしょうか。
もし相続人が全員相続放棄をしてしまった場合、相続する権利がなかった事になるため、相続人が相続を放棄しても、契約は続行されます。
そのため、他の相続人へ権利が移行することになります。
連帯保証人がいた際には、その人が相続人で相続を放棄したとしても、保証人である事とは関係がないため、家賃未払い等の請求を引き続きすることができます。
普通借家権と定期借家権
借家権には「普通借家権」と「定期借家権」の2種類があります。
賃貸借契約は、通常、借主による解約の申し出がない限り自動更新されます。
これは普通借家契約と呼ばれています。
一方、自動更新を行わず、賃貸借契約が終了すると借主は立ち退かなければならないのが定期借家契約です。
そして、それぞれに適用される権利が、「普通借家権」と「定期借家権」になります。
普通借家契約では、契約において、契約期間を定めることは義務づけられておらず、期間の定めのない普通借家契約も認められています。
ちなみに、契約期間を1年未満とした場合には、期間の定めのない契約とみなされることになります。
対して、定期借家契約では、契約期間を必ず定めることになっています。
この場合、契約期間に制限はありませんので、1年未満や、月単位などの契約も可能です。
中途解約も、条件を満たせば可能です。
ただし、定期借家契約は更新がない旨を事前に交付・説明する必要があり、もしそれがなければ普通借家契約となるので注意が必要です。
トラブルを避けるために借地借家法は必ずおさえよう
借地借家法について様々なケースについて解説しました。
もしアパートオーナーとして経営をする際には、借りる人の権利を十分理解した上で、契約内容について定めましょう。
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ちなみに ジモットでは立ち退き交渉を得意としていますので、まずはご相談ください。
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