古家付き土地の正しい売却方法とは?基礎知識、3つの方法と注意点
古家付き土地を手に入れたものの、その次の一手が分からない。多くの方が、相続などの経緯で突如として古家付き土地を所有することとなり、その適切な処分方法に頭を抱えることでしょう。特に、土地に付随する古い家屋の存在は、どのように取り扱うべきかという問題を生む要因の一つです。
この記事では、そんな皆様の悩みを少しでも解消できるよう、古家付き土地の売却に関する基礎知識、具体的な売却方法、そしてそれぞれの方法のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
土地と古家の取り扱いに不慣れな方でも安心して進められるような内容となっておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
古家付き土地を売却する際の基礎知識
まずはじめに、古家付き土地を売却する際の基礎知識について説明していきます。
古家付き土地とは
古家付き土地とは、その名の通り土地に古い家が付属している形態の不動産を指します。多くの場合、長年住んでいた家や使用していない古民家が土地に残されている状態を指します。これには、土地の価値と建物の価値、それぞれが含まれています。
そのため、売却を検討する際には、両方の価値を詳細に評価し、適切な価格を出すことが重要となります。
古家付き土地は土地として分類
古家付き土地は、土地と建物がセットであるにも関わらず、主に土地の価値で取引されます。特に、建物が古く価値が低い場合は、土地の価値が主体となるため、土地としての評価が重視されることが多いです。
古家は解体して土地として販売するか、リノベーションをするかの活用方法が取られるため、建物の状態によっては、土地の価値のみを基に売却価格を設定することも考えられます。
古家付き土地と中古住宅の違いとは
古家付き土地は、土地の価値を主に考えるのに対し、中古住宅は建物の利用価値が前面に出るものです。中古住宅は新しい住まいとして利用することを前提として価格が付けられますが、一般的に中古住宅として販売されている物件とは異なり、古家付き土地は建物の解体を前提とした価格設定が一般的です。つまり、古家付き土地の売却を考える際には、土地の価値を最大限に活かす方法を選ぶ必要があるのです。
古家付き土地は更地にして売却可能
古家付き土地を更地にしてから売却する方法も選択肢の一つです。実際に建物を取り除くことで、購入希望者が土地を自由に利用できる魅力を高めることができます。
また、買主が解体費用をかけずに土地として物件を購入することができるので、買主を見つけるための費用的なメリットも大きいです。
ただし、古家を解体して更地にするためにそれなりの費用と時間がかかることと、更地としての魅力を最大限に引き出すための手間など、検討すべき要点も多くあります。
古家付き土地の3つの売却方法とメリットデメリット
売却を検討する際、どの方法が最も適しているのかは、土地の立地、建物の状態、そして販売希望者のニーズによって大きく異なります。以下、主要な3つの売却方法とそのメリット・デメリットを詳しく解説します。
古家付き土地として売却する
メリット
・解体費用が不要になる: 建物をそのまま残して古家付き土地として販売すれば、買主が解体を行うため、解体にかかるコストを気にする必要がありません。
・住宅ローン対象で売りやすい:中古住宅をリフォームする場合住宅ローンは難しい場合がありますが、古家付き土地の場合、 新しい住宅の建設を希望する購入者には魅力的です。
・固定資産税が安い: 既存の古家の評価が低く、固定資産税が抑えられる場合が多いです。
デメリット
・エリアが悪いと売りにくい: 立地条件が悪い場合、土地としての価値が主体となるため、そもそも土地として価値が低い場合は古家がある分、売りにくくなります。
・値引き要求がある可能性大: 購入者が土地として新築住宅を建てるために解体を行うことを考えると、それに伴うコストを考慮して買主からの値引き交渉が進むことが考えられます。
・埋蔵物が出てくる可能性がある:あとから解体する際に、 地中に何か隠されているものや問題が発覚する可能性があります。
中古住宅として売却する
メリット
・住宅ローン対象で売りやすい: もし古家がすぐに居住が可能な中古住宅である場合、住宅ローンの対象として認められやすくなります。
・解体費用が要らない: そのままの状態での販売となるため、解体の必要がありません。
・住宅価格が売りやすい:そのまま住める場合、そのエリアで住宅を探している購入希望者にとっては新築よりも安価に住宅を持つことができるメリットがあります。
デメリット
・古家の条件によりニーズが減る: 古家の特性やデザインなどの条件により、希望と合致する購入者を見つけるのが難しくなることがあります。
・値引き要求がある可能性大: 建物の老朽化やリフォームの必要性から、交渉時に値引きが要求されることが考えられます。
・契約不適合責任が発生する場合がある: 建物の瑕疵や不具合が後に発覚した場合、売主の責任となる可能性があります。
更地として売却する
メリット
・宅地需要で売りやすい: 更地としての魅力を最大限に活かし、多くの土地購入希望者にアピールすることが可能です。
・相場より高く・早く売れる: クリーンな土地は人気が高く、土地の形状などの条件によっては市場価格以上での取引や迅速な売却が期待できます。
・古家の維持管理が不要になる: 一度解体すれば、建物の管理や維持の手間やコストが発生しません。
デメリット
・解体費がかかる: 更地として売る前に建物の解体が必要となり、その費用が発生します。基礎が深いなど建物の形状によっては、解体時に土地の状態が変わってしまうとその分綺麗な更地にするために余分な費用がかかってしまうケースもあります。
・固定資産税が6倍も高くなる: 建物がない土地の固定資産税は、建物がある場合と比べて高くなる可能性があります。
・解体により建築基準が変わる可能性: 現行の建築基準法に合わせて新たな基準が適用される可能性があるため、注意が必要です。
古家付き土地に関する注意点
最後にうまく売却するためのコツや注意点について説明します。
査定は複数の不動産会社に依頼する
不動産業者により、得意なエリアや物件条件があるため、不動産会社ごとに査定方法や価格感には差があります。複数の会社に査定を依頼することで、様々な観点や評価を比較できます。一つの会社の査定だけに頼るのではなく、多角的に情報を収集することで、市場価格の傾向や自身の土地の魅力を正確に把握できます。
最終的に売却価格の決定や交渉の際に有利に働くことが期待されますが、媒介契約を取るために相場よりも高い査定価格を提示する業者も中にはあるため注意。
隣地との境界線を明確にしておく
土地の境界線を明確にしておくことは、売却の際に極めて重要です。不明確な境界線は、将来的に様々なトラブルの原因となる可能性があります。例えば、明確な境界が確定していない場合、隣地との間で土地の侵害や領有権を巡るトラブルが発生することがあります。また、建築を行う際の建築基準や隣地との距離、建築物の位置や大きさに関するトラブルも考えられます。
隣地との間で境界線上の建物や植木などの位置を巡る争いが発生したり、新しい購入者が土地を利用しようとしたときに、隣地との間での土地利用に関する制約やトラブルが起きる可能性も考えられます。
そのため、売却前に境界線をしっかりと確定して、その情報を購入希望者に正確に伝えることで、後のトラブルを防ぐことができます。
ゴミをできるだけ処分しておく
清潔な状態にすることで、購入希望者に良い印象を与えることができ、価格の引き下げ要因を減少させることができます。
土地や建物内の清掃は、購入希望者の印象を大きく左右します。特に古家付きの土地では、長年のゴミや不用品が溜まっていることが考えられます。
さらに、土地上の雑草や過剰な樹木も整備の対象となります。放置された雑草や樹木は、土地の見た目を悪くするだけでなく、土地の実際の広さや可能性を掴みにくくさせてしまいます。特に、大きな樹木が多数ある場合、これが日照や風通しの障害となることもあるため、適切な管理や剪定が必要です。
これらを適切に処分し、清潔な状態に保つことで、より高い評価を得ることが期待されます。
現状渡しOKの条件で売却する
現状渡しを前提とすることで、リフォームや修繕の負担を考慮せずにスムーズな取引を進めることができます。
「現状渡し」とは、物件を売却する際に、現在の状態で引き渡すことを意味します。これにより、売主はリフォームや修繕の負担を考慮せずに、取引をスムーズに進めることができます。
しかし、この方法を選ぶ際には、現状の詳細を購入希望者にしっかりと伝えることが非常に重要です。
現状の詳細とは、屋根や外壁の傷、雨漏りの有無、設備の修理状況などの建物の現況や、地盤の状態や湿気、水はけ、近隣の騒音などについてです。
また、前の住人がペットを飼育していたかや喫煙の有無、隣地とのトラブル履歴がないかについて等の詳細情報を明確に伝えることで、購入希望者は物件の実際の状態を理解し、後々のトラブルを防ぐことができます。
リノベーションして売却する方法も検討する
リノベーションを行うことで、古家の価値を大きく向上させることができます。
一旦構造を残して解体し、間取りを自由に変更して作り直すリノベーションは初期投資は必要ですが、その結果として、市場価格を大きく上回る売却価格を実現する可能性があります。新築住宅のように綺麗で使いやすい間取りに再生される現代の住まいのニーズを反映したリノベーションは、購入希望者からの評価も高くなります。
まとめ
古家付き土地の売却には様々な選択肢とそれぞれのメリット・デメリットが存在します。土地として売却する場合、解体費用の節約や土地の価値を最大化する利点がありますが、地域や隠れた埋蔵物のリスクも考慮が必要です。
中古住宅としての売却は建物の利用価値を前面に出す手法で、更地としての売却は土地の価値のみを重視する方法となります。売却を進める前の準備として、複数の不動産会社に査定を依頼し比較することや、境界の明確化、物件の清掃・整備、そして現状の詳細な情報提供が極めて重要です。
しかし、古家付き土地の取り扱いは多くの細かい点を要注意とし、極めて困難な場合が多いです。そのため、専門的な知識や経験を持つプロに相談することが、トラブルを防ぎ、適切な価格での売却を実現するための最善策と言えます。
ジモットは古家付き土地の売却をサポートするプロとして、無料査定や売却に関する相談をお受けしています。お気軽にご相談ください。